でぶぅの読書・谷崎潤一郎「陰翳礼讃」
こんにちは。でぶぅです。
日本の美について語る名著
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」を読みました。
2度目の「陰翳礼讃」
素晴らしい作品であることは間違いです。
でぶぅは大学生の時に課題図書として読んだ記憶はありますが・・・・。
今回改めて読んで感じたことをツラツラと書いてみます。
いつ出版されたの?
「陰翳礼讃」は、
日本評論社が1926(大正15)年に創刊した「経済往来」。
1933(昭和8)年12月号・1934(昭和9年)1月号に掲載された
58ページというコンパクトな随筆(エッセイ)。
同時代としては非常に読みやすい文体。
谷崎潤一郎らしいネチっとした質感とエロチックな描写も好きなところ。
谷崎潤一郎の愚痴
西洋文明がどんどん日本に入って来て、日本の良さが失われていないか?
と愚痴ってます。
日本の良さって何??
それが「陰翳」
谷崎潤一郎の「陰翳」
蝋燭(ろうそく)の火で食事を頂く京都の料理屋。
薄暗い「厠(かわや)」の風流について。
谷崎さんは、厠が好きなようで「厠のいろいろ」でもエッセイを書いてます。
夏目漱石が「草枕」の中で羊羹(ようかん)の漆黒について賛美した話。
こんな羊羹も売られているようです。でぶぅとしては食べてみたい・・・。
日本家屋について
門外漢だと言いながら語る建築話。
「左様我々が住居を営むには、何より屋根と云う傘を拡げて大地に一廓の日かげを
落し、その薄暗い陰翳の中に家造りをする」(陰翳礼讃より引用)
谷崎潤一郎と言えば、エロス
観音像のようなツルっとした肉体であっても、
暗がりの中では女性の体は魅力的だ。
想像に勝るエロスはないというかのように。
また日本人の白い肌。
闇の中にあるからこそ浮かび上がる肌の妖美さ。
ありがとうございます。
ところが、
後半は、年末年始の締め切りが厳しかったのか
「柿の葉寿司の作り方」など長々と語り出した。
当時では聞きなれないであろう「パリ」だとか「アインシュタイン」という
名前が出てきます。
もう貴重な話なのか空白を埋めるための話なのか
果たして「陰翳」関係あるのかと思えるような話も。
エッセイとして読む
深い話からそうでもない話まで
あっちへこっちへ飛んでいくエッセイらしいエッセイ。
エッセイって自由だなと楽しませて頂きました。
「日本の美」を語る「陰翳礼讃」と重々しいことではなく、
谷崎潤一郎のエッセイとして少し軽い気持ちで読んでみてはいかがですか?